6月の本の会

 6月19日の本の会は、絵本について勉強しました。大人が絵本について勉強?と思うでしょう。実は、子どもたちに読み聞かせをしていても気づかないで素通りしていたり、見落としていたりすることがあるのです。そこで、今回は、余り知られていない、作者が2人いるベーメルマンスの「マドレーヌ」シリーズについて、次のことを調べました。
 ①2人いる原作者の関係や、イラストや文章にどう違いが出ているのかを、実際に絵本を見、読み聞かせをしてたしかめました。
 ②翻訳者は3人いることから、子どもたちが読んでもらった時どう感じるかを、実際に読み聞かせをして比べました。
 ③日本の子どもが読むのは、翻訳絵本であることから、図書館に所蔵していた原著も借りだして、訳文と比べてみました。

 日本では、「マドレーヌ」シリーズはルドウイッヒ・ベーメルマンス作の『げんきなマドレーヌ』『マドレーヌといぬ』『マドレーヌといたずらっこ』『マドレーヌとジプシー』の5冊が瀬田貞二訳で、福音館書店から、『マドレーヌのクリスマス』が俵万智訳で佑学社から、江國香織訳でBL出版から、『ロンドンのマドレーヌ』は2001年に江國香織訳でBL出版から出ています。
 ルドウィッヒの死後、孫のジョン・ベーメルマンス マルシアーノに引き継がれた「マドレーヌ」のシリーズがあり、以下の6点が江國香織訳でBL出版から出ています。
『アメリカのマドレーヌ』2004年、これは、ルドウィッヒの原画をジョンが構成したもの。『マドレーヌのメルシーブック―いつもおぎょうぎよくいるために』2005年、『マドレーヌとどうぶつたち』2006年、『マドレーヌとローマのネコたち』2009年、『マドレーヌ、ホワイトハウスにいく』2011年、『マドレーヌとパリのふるいやしき 』2014年。
 ①については、イラストは似せているが、ルドウィッヒの伸びやかで動きのある線がないし、ユーモアもなく、全体に柔らかい印象という感想が多く出ていました。文章に付いては全体に長文、しかも物語に山がない、いつも何かが起こり、それに元気よくマドレーヌが立ち向かうのが魅力なのに、それが全然無いと不評でした。
 ②翻訳文については、『げんきなマドレーヌ』と『マドレーヌといたずらっこ』の原著があったので、読み比べ、瀬田貞二訳の生きの良さ、リズム感、豊かな日本語表現に感嘆しました。俵万智さんは幼い頃に瀬田貞二訳の絵本をくり返し楽しんだことや、歌人であることから、やはり無駄のないリズミカルな訳文になっていると感じました。江國香織訳は、全体に長い感じがして、耳で聞くとだらだらした感じがするとも・・・。

 参考図書として『ベーメルマンス マドレーヌの作者の絵と生涯』ジョン・ベーメルマンス マルシアーノ著、福本友美子訳、2011年、BL出版を読んだ人からは、とても参考になると、お勧めの感想が出ていました。
 今回、図書館でレファレンスを受けた人から「この作品が最新作だから」とジョンの作品を薦められたとか、マドレーヌで検索した一覧を渡されたとの声もあり、その一覧の中には、全く別のマドレーヌが出てくる絵本も入っていました。寺村輝夫の「わかったさんのマドレーヌ」も入っていて、「文庫だったら、こんな対応はしない」と谷中文庫の運営人は憤慨していました。

 7月からは『物語の森』東京子ども図書館刊、のリストの中から、手分けして本を読み紹介していく予定です。参加を希望される方は、0297-83-6372(田島)まで、ご連絡下さい。
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ある日の文庫から

2017年6月3日(土)、新年度に入り遠のいていた子どもたちが、文庫に戻ってきました。1年生になったCちゃんも新しく会員登録し、保育所の4歳児クラスに進級したK君も来てくれました。
4年生になったT君、NIさん、NKさん、Sさんもそろって、にぎやかな文庫でした。
4月の図書館まつりの講演会「点字つきさわる絵本を楽しもう」をきっかけに文庫に入れた3冊の点字つきさわる絵本を、毎週文庫に通って研究したT君が、みんなに『さわるめいろ』の遊び方を指南。頭を寄せ合って、楽しそうに遊んでいました。文庫に入れて、良かったと思いました。
みんなで『さわるめいろ』を楽しむ

文庫の本を読んで世界を回ろうキャンペーンも、少しずつ進んでいます。東京子ども図書館の基本図書リスト『物語の森へ』も購入したので、そのリストの中の本を読んだら、シール倍増サービスも付けてみました。T君が早速やる気を見せています。

文庫新聞がなくなったので、HPにアップした記事を文庫だよりとして配ることにしました。
そこで、「いま返した本の中から、あなたがすすめる1冊を教えて下さい」とインタビュー。
以下が、みんなのおすすめです。
1.T君:4年はもちろん『さわるめいろ』の1と2(小学館刊)。ちょっと難しかったけど全部できたそうです。
2.NIさん4年は『魔女図鑑』マルカム・バード作(金の星社)
3.NKさん4年は『いえでをしたくなったので』リーゼル・モーク・スコーペン 文 ドリス・バーン絵、(ほるぷ出版)
4.Sさん4年は『世界のむかし話4スペイン 四人のきょうだい』バージニア・ハビランド(学校図書)、6つのお話が入っています。
5.入会したばかりのCちゃん1年は幼稚園ですきだった『100かいだてのいえ』いわいとしおさく(偕成社)
6.4歳のK君は世話人の岡部さんに読んでもらった『10わのインコどこいった!』クェンティン・ブレイク(小峰書店)
みんな、すきな本に出会えてよかったですね。

てんじつきさわるえほんを文庫に入れました。

さわるめいろ

このたび、文庫に「てんじつきさわるえほん」を3冊入れました。文庫の活動を支援してくれている賛助会員さんからのプレゼントです。4月23日にふじしろ図書館の図書館まつりがあり、その中で、点字つき絵本の出版と普及を考える会から3人の編集者をお招きして、「点字つきさわる絵本を楽しもう」という講演会がありました。文庫の世話人や賛助会員も聴講しましたが、とても感激しました。そして、見えない子たちが、多くの子どもたちが楽しんでいる市販の絵本を、見える子と同じように楽しむためには、購入して楽しんでくれる人たちが増えなくてはいけないことを知りました。

「てんじつきさわるえほん」は見えない子だけでなく、見える子も一緒に楽しめる素敵な絵本なのです。見える子たちにとっては、理屈ではなく、見えないということはどういうことなのか、触って絵本を楽しむとはどういうことなのかを体験でき、見えない人たちと心をつなぐ貴重な教材でもあることが分かりました。そこで、講演会に参加した賛助会員たちが文庫に、3冊の「てんじつきさわるえほん」をプレゼントすることにしました。小学生たちが借りていって、家族や学校の友達、先生方と点字つき絵本を楽しんでほしい、そして図書館だけでなく、学校図書館にもぜひ購入してほしいと願っています。

文庫に入れた点字つきさわる絵本は『さわるめいろ』『さわるめいろ2』『ぐりとぐら』です。
このほかに、新しい本もはいりました。ぜひ、借りていってほしいです。

やっててよかった、子ども文庫

 4月27日(木)、文庫のおこのみやきパーティのあと、常連のK君以外足が遠のいていて、寂しいなと思っていたら、中学2生のI君から「今日は部活がお休みなので、本を借りに行っても良いですか?」と電話がありました。ちょうど家にいて、私も本を読んでいたところなので「どうぞ、いらっしゃい」と返事をしましたところ、すぐにやってきて、いろいろお喋りをして、小学生のときに楽しんだ本を何冊か借りていってくれました。
 中学校の図書室は、広くて本も多いけれど、学年で利用する日が決められているので、週に2回しか借りられないこと。だから、どうしても時間をかけて読む本を選んでしまうのだそうです。支援学級に所属している彼は、それだけだとくたびれてしまい、毎晩寝る前に本を読むけれど、時々無性に絵本も読みたくなるのだそうです。私は、彼の気持ちがとてもよく分かります。私なんか70歳を過ぎているのに、読書の80%は児童書ですもの・・・・。「ホント、そうだよね」と心から共感してしまいました。
 「すぐには来られないから、たくさん借りてもいいですか?」「もちろん もちろん、棚に飾っているだけでは邪魔なだけだから」と私。
彼は、10冊ほどのお気に入り本を抱え、「僕、2年生のときにJ君の勧めで文庫に入って、ほんとに良かった。でなかったら、本なんか読まなかったと思いますよ」と、泣ける言葉を残して帰って行きました。ちなみにJ君は現在中学3年生。お気に入りがIT関連の専門書とあって、6年生からは余り文庫に来なくなりましたが、後輩にとても良いプレゼントをしてくれていたのですね。
 子どもが少なくなると、文庫を閉めようかなと、弱気になるのですが、こんな日があると、やってて良かったな、と元気になる私です。

4月の本の会

2017年4月の本の会
 4月17日(月)、『シャクルトンの大漂流』と一般書の『エンデュアランス号漂流』を読んで面白かったという会員の声で、児童向けの類書を読み比べてみることになりました。参加者は4人。ご家族の病気と本人の病気で2人が欠席です。全員が『シャクルトンの大漂流』 のほかに1冊は読んでいたので、会話は弾みました。南極横断をめざしてエンデュアランス号で南極大陸に向かったシャクルトン隊は流氷に阻まれ、南極大陸に到達する前に遭難。命がけの大脱出に挑み、奇蹟の全員生還を果たします。その冒険を描いた児童書が4冊、大人向けの作品が3冊、取手図書館に所蔵されています。それらを読み比べました。

  1.『シャクルトンの大漂流』 ウィリアム・グリル作 千葉茂樹訳 岩波書店 2016 (原著初版:2014)※2015年度ケイト・グリーナウェイ賞受賞作。3人が、この絵本で初めてシャクルトンのことを知ったとのことです。
  続けて、2.『エンデュアランス号大漂流』エリザベス・コーディー・キメル著 千葉茂樹訳 あすなろ書房 2000(原著初版:1998?)を読んだSさんからは、こちらも一気に読めた。写真も豊富で、状況がよく分かり、読みやすかったと感想。
 併せて一般図書 3.『エンデュアランス号漂流』アルフレッド・ランシング著 山本光伸訳 新潮社 1998(原著初版:1959)も読んだJさんからは、あすなろ版は、新潮社版の要約のように思えた。一般書だけれど、読む力のある子には中学生でも勧めたいと感想。新潮版は途中までしか読めなかったHさんは、絵本だけれど、イラストがとても良く情況を表しているし、ユーモアもあるので、小学生(高学年)には、ぜひこの絵本を紹介したいと感想。
 Tは、3.を以前に読んでいて、児童向けの本では、1と2のほかに4.『そして、奇跡は起こった!-シャクルトン隊、全員生還-』 ジェニファー・アームストロング著 灰島かり訳 評論社 2000 (原著初版:1998)も紹介。みんなで写真を見たり、あすなろ版との違いも確認。ドキュメントとして物語的な表現を押さえ、死者を出した他の探検隊の事例を参照しながら、「生きのびる」ためには、リーダーの決断力と、隊員の結束が欠かせないことをくっきりと描き出している。2度の南極探検のどちらにも死者を出さなかったシャクルトン隊に心打たれ、リーダーシップの重要性について会話が弾みました。
 5.『南極のスコット大佐とシャクルトン(たくさんのふしぎ傑作集)』佐々木マキ作 福音館書店2016は、欠席したFさんが借りていたので省きますが、南極探検の歴史をコンパクトに紹介した本で、今回のテーマとはずれています。
 Tはこのほかに一般書の6.『南へ-エンデュアランス号漂流-』 アーネスト・シャクルトン著 奥田祐士共訳 森平慶司共訳 ソニー・マガジンズ 1999 (原著初版:1919)と、7.『シャクルトンに消された男たち-南極横断隊の悲劇-』ケリー・テイラー=ルイス著 奥田祐士訳 文芸春秋/2007 (原著初版:2006)を読みました。『南へ・・・』の4分の1を充てて書かれている「ロス海支隊」の悲劇を、ケンブリッジ大学スコット極地研究所の客員研究員を勤めたことのある著者が、ロス海支隊のリサーチをすすめ、不明とされていた資料を発掘して著した。※邦訳は、著者が日本版用に再構成した原稿に基づいている。そのため、原書とは一部異なる個所があることをご承知いただきたい(訳者あとがきより)とのことである。ロス支隊とは、大陸の反対側から、スコットやシャクルトンが、南極点を目指した行程を辿って、大陸を横断してくるシャクルトン隊のために、食料や必要物資の備蓄基地を築いた別働隊。こちらは3人の死者を出している。極地での死はビタミンCの欠乏による壊血病がほとんど。興味のある方はぜひこちらも読んでほしい1冊。

 5月はお休みし、6月19日(月)は、ベーメルマンスの「マドレーヌ」シリーズを、孫のジョンの作品もふくめて比較、瀬田貞二、俵万智、江國香織の3人の訳の違いも楽しみたいと思います。
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